東京散歩日和

 

未来紀行

多摩川園〜桜坂

 

6月のある日曜日。

やさしい雨のなか、傘をさしながら散歩をする。

 

今回は、あらかじめ与えられたシナリオ通りに

散歩をすることにします。

今回与えられた命題は、

「多摩川園より多摩川台公園を通って目的地まで散歩をする」

というシンプルなものですが。

さて、この散歩、果たしてワタシやそしてみなさんに

シナリオにはない、予想外のどんな出来事に出会い、

どんな気持ちが生まれるのか。

今回は未知なるもの≠サのものがテーマです。

 

 

東急東横線の「多摩川園」駅で降りる。

誰もいない駅。

駅を出るとすぐに「多摩川台公園」があります。

ここは、丘陵地の斜面を利用した公園です。  

 公園に続く階段。

「あじさい坂」

 

 咲きはじめたばかりのあじさい。

色がまだ淡い感じ。

 

あじさいは晴れた日より、雨の日の方が

きれいに見えるということに気がつきました。

「雨の日を楽しむ」

こんな発想をあじさいに教えられる。

 「がくあじさい」

多摩川台公園はあじさいで有名。

たくさんのあじさいでにぎわってます。

ほかにも、庭園や植物園などがあって、

一年を通じていろんな花を楽しめそうです。 

 

 

植物園は立体的な造りになっていて、

レンガ造りの橋の下から見た菖蒲園。

渋目の日本画のような、雨に煙る公園。

 

公園内に、「多摩川八景」に選ばれた場所があります。

晴れた日に、ここから見える景色は、富士山や

夕焼けや多摩川の流れが見えて絶景です。

 

雨の日の静かな公園。

いきいきとした樹や植物でいっぱいで、

森のなかにいるような気分です。

 

 公園内を歩いていくと、

切り通しになった道路の上に

「虹橋」という赤い橋があります。

 

雨にぬれて光る道路と、樹々のみどりの

あいだから見える、白く鈍く光る空が

不思議と落着いた空気をただよわせています。

 

橋の横から、下の道に降りて行きます。

多摩堤通りを歩いて、中原街道をぬけて行きます。

 

 どんよりと曇った重い梅雨空。

散歩をする人が連れている犬が嬉しそうに

こっちを見ています。

 

沼部駅の踏み切りを渡ってまっすぐに歩いていきます。

この辺は閑静な住宅地。

ここから坂道がずっと上まで続いています。

 

 坂道の名前は「桜坂」

雨にぬれて光る道路は、

鬱蒼とした樹々に囲まれています。

 

この坂の名前の由来は、道沿いに桜並木が

あることから付けられたそうです。

 

 反対がわ。

切り通しになった道にかかる赤い橋。

 

赤い橋≠ニいうのは、

どことなく七夕≠思わせてかわいらしい。

1年に一度天の川にかかるという橋も、

こんな赤い色をしているのだろうか。

 

 

いろんなカップルや仲の良さそうな数人の集団

年配の夫婦や親子連れなどたくさんの人が来て、

すっかり観光地になってにぎわっています。

 

なかには、とても真剣な表情で、

橋の上を歩いたり、写真を撮っている人もいます。

きっとみんな、これからの自分たちの未来に

望みをたくしているのかもしれません。

 

満足そうに帰って行く人たちのを見ながら、

なんとなく、未来に希望を見いだす私です。

 

 『桜坂』

未来へと続く坂道。

 

 

 Fin

 

 

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