『センチメンタルな一日』

先週、この編集後記に” 人を撮った写真って、その人との人間関係まで表れてくるような気がするのですが”なーんて他人ごとみたいなことを書きました。

いままでは風景しか撮ったことがなく、それは結構気楽なことでしたが、これからは人物も撮っていこうかなと思い始めています。そして撮るからにはやっぱり技も地道に磨いていかなきゃと思ってます。それから万が一自分もいつ写真に撮られてもいいように(笑)、お肌も内面も磨いていかなくては。これはワタシの写真家決心ナノデス(笑)

土曜日の午後、木場にある「東京都現代美術館」ってところに行きました。『センチメンタルな写真、人生』という写真家”荒木経惟”さんの集大成の写真展がこの日から開かれていたからです。かなり大きな写真展でした。(ネコのキャラクターが置いてあったりしてカワイイ!)会場をアバウトにまわって最後にビデオコーナーでインタビューや撮影風景などを見ていました。

ビデオを見ていたとき、インタビューで聞こえる声が急にうしろから大声で聞こえてきたので、みんないっせいに振り向いたら、なんと本人がそこを通りかかったのです。その瞬間部屋がからっぽになりました(笑)。荒木さんは、受付で何かを話しそのまま奥へと消えて行きました。ワタシはこの編集後記に美術館の全景と入り口の様子を載せたいと思ってカメラを持ってきていたのですが、小心者(笑)だったため後ろ姿さえも撮れずにいて、ちょっと残念だなとしゅんとしました。

会場を出て、パンフレットを買っていたら荒木さんがまた戻ってきました。とりまきの人達がまたいっせいに追いかけました。そしたらとなりにいた知らない人が、「一緒にとってもらっていいですか!?」と走り寄ったのです。そしたら荒木さんはワタシに(ワタシはカメラを持っていた)「じゃ、撮って。」と言ったので、びっくりした。ワタシはあわてて1枚撮りました。荒木さんに「だめだめ、(フラッシュが)光ってないから、もう1回!よく見てね。」と指導(笑)され、もう1枚こんどはゆっくり撮りました。その時ファインダーの中から見えるアラーキーはなんかものすごく強い視線でこちらを見つめているので、一瞬たじろいだのですが、それをおし返すように全身全霊をこめて入魂の一押しをしました。「よし!」 そして、おまけにワタシとのツーショット写真も撮ってもらったのです。

このときのシャッターを押したときの感覚を一生忘れないようにしよう。

そんなワケで、写真展よりも一番印象に残ったのは、荒木さんの写真を撮るなどという大胆なことをして、一緒に写真に納まるという出来ごとでした。そして、記念すべきワタシのはじめてのポートレートのモデルは”荒木経惟”さん、デシタ。

 

4月22日編集後記/東京都現代美術館

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